佐賀県佐賀市に本社を構える福博印刷は、冊子やパンフレット、チラシ、DMなどの商業印刷サービスを手掛ける企業。その設立は1948年と古い歴史を持つ企業でありながら、近年では世の中のデジタル化の流れにいち早く対応するため、データ分析を用いたコンサルティングサービスやデザイン・ブランディング支援なども広く提供しています。その取り組みの一環として、福博印刷では10年以上前からデータマイニングのサービスを提供してきました。その具体的な内容について、同社の生方一成氏は次のように語ります。
「主に流通・小売業のお客様からPOSデータとポイントカード情報をお預かりして弊社で分析を施すことで、チラシの効果検証や顧客分析、エリアマーケティング分析などを支援してきました」従来はBIツールを使ってこれらのデータを分析してきましたが、2016年ごろにディープラーニング技術が注目を集め始めたころから、福博印刷でもいち早くAIを使ったデータ分析手法を取り入れました。しかし、同社の柴田学氏によれば、当時のAI開発環境にはさまざまな面で課題があったと言います。
「当初はPythonやR言語を使って機械学習のモデルを生成して、チラシやDMの効果検証や予測、スコアリングなどを行っていました。ただ、AIに投入する学習データの加工や特徴量の検討といった『前処理』に多くの手間と時間を要しており、お客様への提案・報告やユースケースの検討といった本来注力すべき業務に十分取り組むことができませんでした」
こうした課題を解決するために、クラウド型のAutoMLサービスを導入しましたが、結果がブラックボックス化してしまい「どの特徴量が結果にどの程度影響を与えているか」が分かりませんでした。その影響で、顧客に施策の根拠を説得力のある形で示せなかったのです。