お客さまターゲティングの精度に20倍の差 個人向け営業にAI活用が定着

8月 26, 2022

お客さまターゲティングの精度に20倍の差 個人向け営業にAI活用が定着

デジタル技術を積極活用し業務変革に取り組んでいる三井住友信託銀行では、個人のお客さまターゲティングの精度向上を目的にdotDataを導入。金融商品の成約率が高いと思われるお客さまをAIが導き出すことで、成約率向上を実現しました。また、データサイエンスの高度なスキルを持たない本部企画の担当者でもAIモデルの構築が可能になったとともに、モデル構築に用いられた「特徴量」が分かりやすい形で可視化されるため、営業担当者にAIの有用性について説得力をもって説明できるようになりました。


課 題効 果
・ 手作業によるターゲットリスト作成の精度向上に限界・dotDataを用いたお客さまターゲットリスト活用により成約率の精度が約20倍に
・データと業務知識を併せ持つ人材が限られていた・専門スキルがなくても複雑なAIモデルを構築可能に
・既存のAI統計ツールは分析に時間を要し、タイムリーな分析が困難だった・ 分析時間が短縮したことで精度向上のためのチューニングが繰り返し実行可能に
・マニュアル化しにくい優れた営業担当社のスキルを横展開する仕組みが必要だった・ 営業担当者の感覚をデータで裏付け、スキルの横展開が可能に

銀行業務と信託業務を一体的に手掛ける専業信託銀行として、三井住友トラスト・グループの中核を成している三井住友信託銀行。同行は個人のお客さま向け、法人のお客さま向け、資産管理、不動産など、実に幅広い事業を展開しています。近年ではデジタルトランスフォーメーシ ョン(DX)に積極的に取り組んでおり、中期経営計画においては「デジタル技術の活用」と「デジタル人材の育成」を大きな柱に掲げています。同行の長尾将宏氏は「『新技術への挑戦』『データサイエンス の高度化と活用拡大』『業務インフラの高度化』『人材のリスキリング』の4つの戦略を掲げて、デジタル戦略を加速させています」と、同行が進めるDXの方向性について説明します。

専門スキルがなくても仮説検証が行いやすいdotDataは、現場主導によるAI活用を進める上で非常に有用なツールです

三井住友信託銀行株式会社 個人企画部 データ・マネジメントチーム調査役
近藤敬佑氏

dotDataであれば、専門スキルの無い本部企画担当者もAIモデルの構築・チューニングを独力で行えるようになるはずです

三井住友信託銀行株式会社 デジタル企画部(NECから出向)
長尾将宏氏

蓄積した膨大なビッグデータをAIで分析し営業力強化を図る

AI活用の背景には、大塚商会独自の2つの活動があります。いずれも20年以上にわたる長期の取り組みです。

 1つは、社員数を増やさずに売上高を伸ばすビジネスモデルの確立です。 1998年ごろまでは社員数の増加と売上高が連動していた大塚商会ですが、ITの活用など様々な仕組みを導入して生産性、効率性を向上し、社員数を増やさずに市場での存在感を拡大し続けています。今後もこのビジネスモデルを継続させるには、これまで以上に営業活動の効率化が求められるのです。

 もう1つは、2001年に開始したセールスプロセスリエンジニアリング(SPR)の取り組みです。SPRは大塚商会の営業担当者が必ず使う営業ツールで、すべての営業活動をデータ化しています。「2000年以降の累積データ件数は、商談が5000万件以上、売上明細が12億件以上という膨大なものです。このビッグデータには商談内容、取引状況だけでなく販売後のサポート情報などがあり、営業活動とお客様の状況が蓄積されています。これを分析して、営業活動を効率化する取り組みを続けてきました」(地主氏)。

 こうした背景で効率化を推進している大塚商会であっても、課題がありました。営業担当者はそれぞれ得意や不得意があり、パフォーマンスにも差があります。「どの会社でも売れる営業担当者が一定の割合の売上を確保していますが、それだけでは企業としての底上げができません。どの営業担当者にも自分たちの力量以上に売れる力を持たせる方法が課題でした」と地主氏は振り返ります。
20年以上にわたってビッグデータを蓄積してきた大塚商会では、このデータをAIで分析することで、これまで見えなかった市場の変化や顧客のニーズを捉えられないかと考えました。

dotDataの分析で成約率に20倍の差が

 dotDataの導入後、dotDataを使ったターゲットリストの作成作業を開始。同行内で管理しているお客さまの年齢・職業等の属性情報や預金・投資信託・保険等の過去の取引履歴等、500万件に及ぶ大量のデータをdotDataによる分析にかけ、成約率がより高いであろう金融商品を割り出すAIモデルを構築していきました。その過程で、思いもよらぬ特徴量が抽出されることもあったといいます。
 「例えば運用商品の提案先をターゲティングする際に『住宅ローンの残高』『相続関連商品の保有状況』『定期預金の解約回数』といった、従来は運用商品と直接関係ないと思っていた特徴量も数多く見いだされました。ベテランの営業担当者の中にはそうした傾向を把握していた人もいたかもしれませんが、明確に可視化されたことで若手や新人にもナレッジとして広く共有できるようになりました。 dotDataによる分析は、営業力の底上げにつながると考えています」(近藤氏)
 AIが提示した内容をもとに、お客さまに提案すべき商品を「商品別ニーズフラグ」としてターゲットリストに含めて営業担当者に提供しましたが、当初は戸惑いや抵抗も見られました。しかし、 dotDataが提示する特徴量に関する情報に基づいて、それぞれの商品別ニーズフラグの根拠を分かりやすく説明する資料を作成したところ、時間がかからず理解が得られるようになりました。
 何より、商品別ニーズフラグの運用を続けるうちに「成約率」という目に見える形で効果が実証されていき、営業担当者からの信頼感が大きく変わっていきました。今ではこの情報をベースにした営業スタイルがすっかり定着しました。

 「商品別ニーズフラグで『ニーズあり』と示されているお客さまと『ニーズなし』と示されているお客さまとを比較すると、成約率に約20倍もの差があることが分かりました。こうした具体的な効果が出ていることから営業担当者からの信頼も得られております」(近藤氏) 

今後はより幅広い業務にdotDataの導入を計画

 ターゲットリスト作成の成果を踏まえて、同行では他の業務にもdotDataを導入する取り組みを進めています。個人事業においては、既にダイレクトメールの送付先をAIで絞り込むためにdotDataを活用。長尾氏によれば、その他の事業においても現在dotDataの導入検討が進められているといいます。
 「マーケットの分野では、キャンペーンの効果分析にdotDataの活用を検討しています。また、コールセンターにおける受電量をAIで予測する試みも進んでおり、ここでもdotDataの活用を検討しています」(長尾氏)
 さらに、個人事業におけるターゲットリストと同様の取り組みを、法人のお客さま向けに実施する計画も進行中です。より多くの事業で導入メリットを享受すべく、デジタル企画部が中心となってハンズオン形式でdotDataの研修を実施しており、長尾氏は「各事業がdotDataを使って独力でAIモデルの構築やチューニングをできるようにするのが最終目標です」と将来構想を語ります。
 無論、個人事業におけるターゲットリストの施策も、いったんAIモデルを構築して終わりではなく、今後もdotDataを通じたチューニングを繰り返しながらより精度を高めていく予定です。
 「AIモデルをチューニングする際、 dotDataのように特徴量が分かりやすい形で可視化されると専門スキルがないユーザーでも仮説を検証しやすく、トライ&エラーによるチューニングを進めやすいのです。そういう意味で、dotDataは各事業によるAI活用を進める上で非常に有用なツールです」(近藤氏)

 三井住友信託銀行株式会社

所在地
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-4-1
従業員数
13,740名 ※2021年3月31日現在
創業日
1925年7月28日
事業内容
三井住友トラスト・グループの中核を成す専業信託銀行として「個人のお客さま向け」「法人のお客さま向け」「投資家向け」「資産管理」「不動産」「マーケット」「プライベートバンキング横断領域」「資産形成・職域横断領域」の8つの事業を展開。「The Trust Bank」ブランドの確立を目指している。

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dotData

dotData Inc.

dotData独自の技術である特徴量自動設計は、データサイエンスおよびAI開発工程の最も難しい部分である特徴量設計と事業適用化を自動化します。それにより、企業のAI・機械学習プロジェクトにかかる時間を短縮させ、より高いビジネス価値を生み出します。詳細はdotdata.com、Twitter、LinkedInからご確認いただけます。