
金融業界におけるdotDataの活用事例4社 – AIの統合や異業種連携で加速するデータ活用
- 特徴量
- データ分析
- DX
- 予測分析
- ビジネスアナリティクス
金融業界では、AI技術や生成AIの実用化が進み、データ分析を基盤とした新しい金融サービス提供が競争優位性を左右する時代になっています。金融機関が直面する課題は、顧客対応の高度化、業務効率化、リスク管理の精度向上など多岐にわたります。こうした背景から、人工知能や機械学習を活用したユースケースが拡大し、データを起点とした変革が求められています。
本記事では、金融業におけるユースケースとdotDataの貢献領域をはじめ、具体的な導入事例、生成AIと統合した最新のデータ活用アプローチをお届けします。各事例の詳細については、三井住友信託銀行様・三井住友海上火災保険様・セブン銀行様の導入事例ページもあわせてご覧いただくと、より深い理解につながります。
三井住友信託銀行様は、個人顧客への営業活動をより精緻にするため、dotDataを導入しました。従来は経験則に基づいてターゲットリストを作成していましたが、精度には限界があり、人材不足や分析にかかる時間の長さも大きな課題となっていました。さらに、従来のAIツールは分析の根拠がブラックボックス化しやすく、営業担当者に納得感を持って活用してもらうことが難しいという問題もありました。
導入後は、500万件に及ぶ膨大な顧客データを分析し、金融商品の成約率を予測するAIモデルを構築。その結果、dotDataが「ニーズあり」と判定した顧客は、「ニーズなし」とされた顧客に比べて成約率が約20倍高いという劇的な成果が得られました。
さらに、分析の過程では運用商品の提案先を絞り込む際に、「住宅ローンの残高」や「相続関連商品の保有状況」といった、従来は運用商品とは関係が薄いと考えられていた特徴量が数多く見つかりました。こうしたベテラン営業でも一部の人しか気がつかないような傾向をdotDataが発見することで、若手や新人の育成にも役立っています。結果として、営業ノウハウを組織全体で共有しやすくなり、営業力の底上げにつながりました。
また、dotDataは専門的なスキルがなくてもAIモデルを構築できるため、企画担当者が自らトライ&エラーを重ねながら分析の精度を高められる環境が整いました。これにより、分析時間の短縮と精度改善のサイクルが確立され、現場主導でのAI活用が定着しています。
三井住友海上火災保険様は、全国に約3万8,000拠点ある保険代理店の営業活動を支援するため、2020年2月に代理店支援システム「MS1 Brain」をリリースしました。代理店経由で顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験を提供するには、経験や勘に頼る従来の営業スタイルでは限界がありました。しかし、社内のデータサイエンティストは少なく、外部人材に依存するとノウハウが社内に蓄積されないという課題がありました。さらに、AIモデルがブラックボックス化すると、なぜその提案が導かれたのかを現場が理解できず、活用が進まない懸念もありました。こうした背景から、効率的にAIモデルを構築でき、かつ説明可能性を備えた仕組みが求められていました。
こうした課題を解決するために、同社はAIエンジンにdotDataを採用し、特徴量の自動設計と可視化を活用してモデル設計・構築を効率化しました。その結果、過去の契約情報を分析し、「誰に・いつ・どの商品を提案すべきか」を具体的に提示できるようになり、アップセルやクロスセルの成約率は従来比で2〜3倍に向上しました。また、解約や他社切替のリスクが高い顧客を早期に特定でき、抑止活動を迅速に開始できるようになった点も大きな効果です。さらに、抽出された特徴量は「年間保険料が一定額を超える顧客は特定の特約を付帯しやすい」といった形で営業ノウハウとして定量化され、代理店向けのトークスクリプトに落とし込まれました。
成果は国内にとどまらず、海外の提携先での解約要因分析や、自動車買い替えタイミング予測といったユースケースに応用され、ビジネス価値の拡大につながっています。現場が理解し納得できる「見えるAI」を導入したことで、社員や代理店の間にデータドリブンな文化が根付き、DX推進が大きく加速しました。
セブン銀行様は、グループが保有する金融データと購買データを組み合わせ、より高度なマーケティングを実現することを目指していました。購買データには顧客の生活スタイルや価値観が色濃く表れるため、深い顧客理解につながる可能性がありました。しかし、金融機関にとって購買データは未知の領域であり、分析の「土地勘」がなく、どの切り口から仮説を立てればよいか判断が難しいという課題がありました。
こうした課題に対し、セブン銀行様はdotDataを導入し、AIによる自動かつ網羅的な分析を活用することで、数十万から数百万に及ぶパターンの中からカードローンニーズと関連の深い特徴量を発見しました。その結果、購買データと金融データを組み合わせたターゲティング広告の精度が飛躍的に向上し、顧客獲得単価(CPA)は従来の半分に削減されました。
今後は、dotDataの誰でも高精度なデータ分析が行える特長を活かして、現場主導のAI・データ活用を広げていく方針を持っています。データサイエンティストが中心となって枠組みを整えつつ、段階的に利用部署を拡大し、将来的には購買データの活用を通じて新しい金融ビジネスの立ち上げにも取り組んでいく考えです。
2024年5月にちゅうぎんフィナンシャルグループ様(以下ちゅうぎんFG)が発表されたちゅうぎんDX戦略の資料では、dotDataは幅広い接点から生まれるデータをクラウド内で統合的に分析・活用するデータ基盤として位置づけられています。特徴量については「業務目的と関連が高いデータの重要なパターン」と記載されており、こうした仕組みを通じて分析基盤を整備し、誰もが高度にデータを活用できる環境を構築することが目指されています。データ起点の課題発見から、企画、分析、効果検証のサイクルをクイックに回し、誰もが高度にデータを活用してマーケティングをレベルアップすることを目指されています。
地域連携という点では、中国銀行様がリードして地域産業、行政、学術機関との連携を推進しており、dotDataは協業パートナーの一社として参画しています。成功事例を「岡山モデル」として他地域や他分野へ横展開することを目指されています。
また、地域連携の一環として、中国銀行様、岡山大学様、dotDataの3者協力により大学生向けビジネスアナリティクス人材育成の公開講座を実施しました。この講座は、岡山県内の大学生がビジネスベースの分析を学び、次世代のデータ活用人材となることを目指すものです。dotData提供のサービスをアレンジし、分析の理解から結果の読み解き、施策立案までをカバー。講義で標準的な考え方を学び、オープンデータやdotDataを使った実習を行う実践的なプログラムとなっています。このプログラムは企業向けにも多くの実績があり、データ活用による意思決定の文化を多くの部門に定着させる取り組みとして関心が高まっています。
本記事では、dotDataが金融業において、営業・マーケティング支援、グループ異業種連携、地域連携といった多岐にわたる領域で貢献をしていることを、具体的なユースケースを通じて紹介しました。ご紹介した事例が、皆様のデータ活用戦略を検討される上での一助となれば幸いです。dotDataは今後もAIを活用したデータ分析や生成AI活用を軸に、日本の金融機関を支援していきます。今回取り上げた事例以外にも需要予測など多様な金融AI活用のユースケースがありますので、他の導入企業の事例もぜひご覧ください。
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