AIエージェントを活用したデータ分析の現在地 ― 自社データで精度が出ない本当の理由

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AIエージェントによるデータ分析は、コーディングに続いてエージェント化が進む領域です。dotDataは、データ分析も今後1〜3年で大きく変わると見ています。ただし、カンファレンスのデモでは鮮やかに動くAIエージェントも、自社のデータに当てると誤答が増えるのが現実です。その原因の多くは、モデルの性能ではなく、エージェントに与えるデータと、そのデータの「意味」の側にあります。

本記事では、次の4点を解説します。

  • 仕組みと現在地:AIエージェントによるデータ分析とは何か、どこまで進んでいるのか
  • 事例と使い方:活用事例と、3つのアプローチ
  • 失敗要因:デモでは動くのに、自社データでは精度が出ないのはなぜか
  • 導入の進め方:成否を左右する要因と、導入に向けた4つのステップ

AIエージェントによるデータ分析とは何か:レポート作成までを自律的に実行する仕組み

AIエージェントによるデータ分析とは、AIエージェント(AI agent)が業務上の問いを受け取り、複数のデータソースにまたがるデータの探索・加工・集計・解釈・レポート化までを自律的に進める分析の形です。AIを使ったデータ分析(AIデータ分析)のなかでも、手順ごとに人の指示を待たずに、エージェントが分析の手順を自ら組み立てる点が、BIツールやAIアシスタントとの違いです。

エージェントによる分析は、一般的には次の流れで進みます。

  1. 問いを受け取る:「来月解約しそうな顧客は?」「商品Aの売上が下がった理由は?」といったビジネス部門の問いを、自然言語で受け取る
  2. データを探す:データ基盤とAPIなどで連携し、問いに答えるために必要なテーブルや文書を探す
  3. 加工・集計する:SQLやPythonのコードを生成し、データを結合・集計する
  4. 解釈する:集計した数字から、要因や傾向を読み解く
  5. レポートにまとめる:読み手に合わせて、結果を可視化し、打ち手とあわせてまとめる

この流れを実務で使える水準で回すには、エージェント単体ではなく、次の4つの構成要素をそろえる必要があると、dotDataは考えています。

構成要素役割例
データ基盤分析の対象となる、正しく整ったデータをそろえるデータウェアハウス、データマート、データカタログ
意味の層指標の計算方法や用語の定義、業務の文脈をエージェントに伝える指標の定義、用語集、マニュアルや議事録
AIエージェント問いを受けて、探索・加工・集計・解釈・レポート化を進める汎用エージェント、データ基盤と連携するエージェント
人の確認と評価要所で方向を修正し、出力の正しさを確かめるHuman-in-the-Loop、LLM as a Judge

多くの場合につまずくのは、2つ目の「意味の層」です。この点は、本記事の後半で詳しく説明します。

業務のエージェント化はどこまで進んだか

専門知識と判断を必要とする業務から、AIエージェントによる代替が始まっています。最も変化が早いのはソフトウェア開発です。

dotDataでも、エンジニアはコーディングエージェントを日常的に使っており、自分でコードを書く時間は大きく減りました。エンジニアの主な仕事は、どのようなソフトウェアをどのようなアーキテクチャで作るかを設計すること、エージェントが書いたコードをレビューすること、そしてエージェントを正しく動かすことに移っています。1年ほど前には「まだ自分たちで書く部分のほうが多い」という声が社内でも聞かれましたが、その状況は短期間で大きく変わりました。

同様の変化は、ほかの専門業務にも広がっています。

業務エージェントが担い始めている作業
ソフトウェア開発コードの生成、テスト、修正
カスタマーサポート一次対応、問い合わせの要約、回答の生成
法務・契約レビュー条項の抽出、リスクのチェック
リサーチ情報収集、要約、レポート化

dotDataでは、次に大きく変わるのはUXデザインのようなクリエイティブの分野だと見ています。1年後には、いまのコーディングと同じように、デザイナーの仕事そのものが再定義されているかもしれません。

これらに共通するのは、「専門知識×判断」を必要としてきた点です。専門家にしかできなかった仕事ほど、エージェント化によるインパクトは大きくなります。

なぜデータ分析へのAIエージェント活用はまだ進んでいないのか:3つの課題

データ分析は、業務とデータの両方に深く接しているため、汎用的なAIエージェントだけでは完結しにくい領域です。そのため、コーディングに比べると、エージェントの活用は遅れています。

課題は大きく3つあります。

  • 業務との接点が深い:どのような問いを立てるか、指標が何を意味するか、分析がビジネスの意思決定にどう使われるかは、部門ごとに異なります。
  • データとの接点が深い:自社のテーブル構造、指標の定義、データの加工ルールを理解しなければ、正しい分析はできません。
  • 自由度が高い:分析の問いには正解が1つに決まらないものが多く、進め方の選択肢も広くあります。

実際、dotDataが関わっている米国の企業を含め、グローバルに見ても、分析をAIエージェントに全面的に任せ、人が分析をしなくなったという組織は、現時点ではほとんど見られません。

一方で、コーディングやクリエイティブの分野で起きた変化の速さを踏まえると、データ分析も今後1〜3年で大きく変わると、dotDataは考えています。数年後には、人が行う分析よりもAIエージェントが行う分析のほうが多くなる時代が来るでしょう。

データ分析の3段階:ツール支援型から、エージェントが自律的に分析する段階へ

分析は、人がツールを使う段階から、AIが人を手伝う段階へと進んできました。その先にあるのが、AIエージェントが自ら分析・判断・実行する段階です。今後1〜3年で、分析の主役は人からAIエージェントへ移っていくと、dotDataは見ています。

段階人とAIの関係代表的な技術
ツール支援型人間中心。人がツールを使って分析するBI、AutoML
AI拡張型(現在)人間中心。AIが人の分析を手伝うCopilot、AIアシスタント
エージェント駆動型(これから)AIエージェントが分析・判断・実行を担い、人は方向付けと承認を行う(Human-in-the-Loop)自律的に動くAIエージェント

これまでと現在:ツールによる支援から、AIによる支援へ

最初の段階では、ノーコードのBIツールや、機械学習モデルの構築を自動化するAutoML(自動機械学習)が、分析を担う人を支えました。dotDataが2018年に最初に提供した製品も、AutoML製品(dotData Enterprise)です。この段階では、分析の中心はあくまで人でした。

現在は、AIが人の分析を手伝う段階にあります。分析を担う人がチャットで問いかけると、Copilot(人の作業を隣で補助するAI)やAIアシスタントが集計や可視化を手伝います。Databricks GenieやSnowflake Intelligenceのように、データ基盤上でAIに自然言語で問いかける製品が代表例です。

次の段階では、人とエージェントの役割分担はどう変わるか

次の段階では、繰り返し行う分析をエージェントが担い、人は要所で方向付けと承認を担います。この関わり方を、Human-in-the-Loop(HITL)と呼びます。

  • 人が中心に残る分析:アドホックで複雑な分析や、新しい問いを立てる分析
  • エージェントが担う分析:経営指標の裏側で何が起きているかを定期的に確認するような、定例の分析
  • 人の役割:エージェントの分析を使って意思決定し、ビジネスを改善すること

AIエージェントをデータ分析に活用すると、どのようなメリットがあるか

AIエージェントをデータ分析に活用する最大のメリットは、組織の中で繰り返し発生する数多くの分析を、人手に頼らず回せるようになることです。具体的には、次のような効果が期待できます。

  • 分析の量とスピード:たとえば、毎月の売上の変動要因を、地域別・商品別にエージェントが繰り返し分析できるようになります。人手が足りずに後回しになっていた分析も、対象にすることが可能になります。
  • 業務の効率化:データの抽出や処理、集計、定例レポートの作成をエージェントが担い、担当の方は解釈と判断に時間を使えるようになります。
  • データ活用の民主化:営業や企画の部門が、専門の分析チームに依頼しなくても、自然言語で問いを投げて答えを得られるようになります。

ただし、こうした効果は、エージェントの分析が正しいことが前提です。後半では、その前提を崩す要因を見ていきます。

データ分析にAIエージェントを活用した事例

こうした取り組みは、自然言語でデータに問い合わせる機能から始まっています。ここでは、データ基盤ベンダーのSnowflakeが公表している2つの事例を紹介します(いずれもベンダー公表の事例です)。

  • Bayer(製薬・農業):Bayerは、Snowflakeの自然言語分析機能Cortex Analystを使い、自社データに対するセルフサービス分析を進めています。最初の段階では、営業部門の幹部が投げる「先月の製品Xの市場シェアは?」といった、経営上の価値が高い質問に答える用途から始めました(Snowflake, 2024年8月)。
  • TUI(旅行):TUIは、Cortex Analystを基盤に、自然言語でデータに問い合わせられるAI基盤「TACO(Technology Analytics Companion)」を構築しました。Snowflakeの事例ページでは、こうした取り組みで年間30日以上の工数を削減できる可能性があるとしています。ただし、これは見込みであり、TUI自身も現段階で正確な効果を見極めるのは難しいとしています(Snowflake)。

2つの事例に共通するのは、問いと指標がはっきりした分析から始めている点です。誰に向けて、どの指標について答えるのかが明確であるほど、エージェントの答えを検証しやすくなります。

なお、Snowflakeは2026年8月に、Cortex Analystからエージェントの機能であるCortex Agentsへの移行を推奨すると発表しています(Snowflake Docs, 2026年8月)。自然言語での問い合わせから、エージェントによる分析へと、製品の重心が移りつつあることがうかがえます。

データ分析にAIエージェントを使う3つのアプローチ:機能と前提の違い

エージェントを分析に使うアプローチは、大きく3つに分けられます。いまの製品の多くはAIが人を手伝う形で使われていますが、エージェントが自ら分析する形へと機能を広げつつあると、dotDataは見ています。どのアプローチを選んでも、データ分析エージェントの答えの正しさを左右するのは、エージェントに与えるデータとコンテキスト(文脈)の質です。

アプローチ代表例得意なこと前提・制約
汎用エージェント・コーディングエージェントChatGPT、Claude、Gemini/Claude Code、OpenAI Codex、Cursor柔軟に使え、PythonやSQLで分析用のコードも書ける自社データの意味は知らない。成果が使う人のスキルに左右される
データ基盤連動型Databricks Genie、Snowflake Intelligence基盤上のデータに直接アクセスでき、権限管理の下で使える正しさは、基盤上に整備された定義の充実度に左右される
業務・分析アプリSalesforce Agentforceなど業務アプリと連携するエージェント、特定目的の分析エージェント特定の業務や目的に合わせて作り込まれている対象とする範囲が限られる

ツールの選び方は、本記事末尾のFAQで整理しています。いずれのアプローチでも、エージェントが自社データの意味を理解していなければ、正しい答えは返りません。この点が、次に述べる「期待と現実」のギャップにつながります。

期待と現実:AIエージェントのデータ分析は、なぜ自社データで精度が落ちるのか

自社データで精度が落ちる主な要因は、次の4つです。

  • 定義のずれ:「売上」や「解約」の定義が、人とエージェントで食い違う
  • 探索のコスト:テーブルや文書が多すぎて、エージェントが必要な情報を探しきれない
  • もっともらしい誤答:誤った答えでも説得力があり、使う側が誤りに気づけない
  • 評価の手段がない:出力の正しさを継続的に測っていないため、誤りが放置される

こうしたリスクを放置したまま進めると、プロジェクトそのものが続かなくなるおそれがあります。Gartnerは、エージェント型AIプロジェクトの40%超が、コストの高騰、ビジネス価値の不明確さ、リスク管理の不備により、2027年末までに中止されると予測しています(Gartner, 2025年6月)。

期待:デモとベンチマークでは高い正答率

dotDataも参加した2026年6月のData + AI Summit 2026をはじめ、データ基盤ベンダーのカンファレンスでは、AIエージェントが分析を次々にこなす華やかなデモが披露されます。学術的なベンチマークでも高い数字が並びます。自然言語の質問をSQLに変換するText-to-SQLの代表的なベンチマーク「Spider 1.0」では、2023年時点で実行精度91.2%が報告されています(Spider)。

現実:自社データでは誤答が増える

一方、実際の企業のデータベースを模したベンチマーク「Spider 2.0」の論文(2024年11月公開、ICLR 2025採択)では、当時のo1-previewを使ったエージェントでも、解けたタスクは21.3%にとどまりました(Lei et al., 2024)。同じ論文は、Spider 1.0では91.2%、BIRDでは73.0%だったと比較しています。

その後、Spider 2.0のリーダーボード(Snowflake環境版のSpider 2.0-Snow)では、スキーマの理解や文脈の与え方を作り込んだエージェントシステムが、90%台のスコアを報告しています(自己申告の値)(Spider 2.0)。LLMを単体で使うか、文脈を作り込むかで、成績が大きく変わることを示唆しています。

ベンチマークと実務の差を生むのは、実際のデータが持つ次のような特徴です。

  • 規模が大きい:テーブルが数千から数万に及ぶ
  • 名前が曖昧:列名やコードだけでは、何を表すデータか分からない
  • 定義が会社固有:「売上」や「解約」の数え方が、会社や部門ごとに違う

なぜ計算は正しいのに、答えが違うのか:指標の定義のずれ

計算が正しくても答えが違ってしまうのは、人とエージェントが同じ言葉を別の定義で使っているからです。自社データでの誤答のうち、特に気づきにくいのがこのケースです。

たとえば「来月解約しそうな顧客は?」と尋ねたとします。「解約」には、次のように複数の定義がありえます。

  • 解約手続きをした顧客だけを数える(ハードな解約)
  • 利用率が大きく下がった顧客も含める(ソフトチャーン)
  • 製品やサービスごとに、別の基準で数える

人とエージェントが別々の「解約」を思い浮かべたまま分析が進むと、計算自体は正しくても、問いとは違う答えが返ってきます。しかもその答えはもっともらしく見えるため、使う側は誤りに気づけません。

この誤りは、プロンプト(エージェントへの指示文)を工夫するだけでは防ぎきれません。指示がどれほど丁寧でも、指標の定義や業務の文脈がエージェントに共有されていなければ、エージェントは自分なりの解釈で計算を進めてしまうからです。この問題は、AI-Ready Dataとはで詳しく解説します。

探索のコスト:どこを見ればよいか分からない

データが大規模になると、エージェントは必要なデータや文書を探すだけで時間とコストを使います。DatabricksのAli Ghodsi CEOは、2026年6月のData + AI Summit 2026の基調講演で、エージェントがどこを探せばよいか分からないまま、その場で探し回るため、答えが返るまでに10〜15分かかることがあると指摘しました(Databricks)。

精度を決めるのはモデルではなく、データとコンテキスト

最新の大規模言語モデル(LLM)は、一般的なタスクをこなすうえで十分な推論力を備えていると、dotDataは考えています。自社データで誤答が増える主な原因は、モデルではなく、エージェントが参照する入力の側にあります。

コンテキストを与えると、正答率は大きく変わる

データ基盤ベンダーの検証でも、この傾向が示されています。Snowflakeは、自社のプロダクト分析に関する58問の社内ベンチマークの結果を公表しています。業務のコンテキストを持たないまま、Snowflake MCP経由でデータにアクセスしたエージェント(Claude Code)の正答率は24.1%でした。MCPは、AIエージェントを外部のデータやツールと連携させるための標準規格で、Snowflake MCPはそのSnowflake用の接続口です。これに対し、コンテキストを与える機能(Cortex Sense)を使ったSnowflakeのエージェントでは86.3%でした(Snowflake, 2026年6月、Snowflake Engineering Blog, 2026年8月)。ベンダー自身による測定で、比較したエージェントの構成も異なるため、単純な比較ではありません。それでも、コンテキストの有無で正答率が大きく変わりうることを示す例です。

Snowflakeは2026年6月のSnowflake Summit 26の基調講演でも、差別化の源泉はAIモデルではなく自社のデータにある、というメッセージを打ち出しています(Snowflake Summit 26 Keynote)。

調査会社も「データ」を課題に挙げる

調査会社も同様の見方を示しています。

  • Gartner:AI-Readyなデータに支えられていないAIプロジェクトの60%が、2026年までに放棄されると予測しています。同社の調査では、63%の組織が「AIに適したデータ管理の実践を持っていない、または持っているか分からない」と回答しました(Gartner, 2025年2月)。
  • Forrester:生成AIの導入において「いま直面する主な制約要因は、自社のデータ品質である」と指摘しています(Forrester, 2024年2月)。

BI・機械学習の時代と同じ構図:違いは「意味」が問われること

新しい技術が登場するたびに、同じことが起きてきました。BIの時代も機械学習の時代も、最初はツールやモデルに注目が集まりました。しかし、その性能が一定の水準に達すると、成否を分けるのは入力データの整備になりました。

AIエージェントの時代も同じ構図です。ただし、今回はデータをきれいに整えるだけでは足りません。エージェントがデータの「意味」を理解できるようにする必要があります。これが、近年注目されている「AI-Ready Data」という考え方です。詳しくはAI-Ready Dataとはで解説します。

AIエージェントによるデータ分析の導入は、どのように設計し、進めればよいか

導入は、LLMを選ぶ前に、対象業務、データの意味、人の関与、評価の方法を順に整えることから始めます。次の4つのステップで進めることを、dotDataは推奨します。

  1. ステップ1:エージェントに任せる定型分析を洗い出す
    経営KPIの要因分析や定例レポートのように、繰り返し発生し、指標の定義がはっきりしている分析から始めます。対象が明確であるほど、答えの検証もしやすくなります。
  2. ステップ2:データの「意味の層」を整える
    指標の計算方法、用語の定義、業務の文脈を、エージェントが参照できる形で整備します。これは人が読むドキュメントとは別に、エージェントが実行時に使う定義です(→ AI-Ready Dataとは)。
  3. ステップ3:Human-in-the-Loopを設計する
    エージェントが推論を何段も重ねると、小さな誤差が蓄積し、分析が誤った方向に進むことがあります。分析プロセスの重要な段階で人が文脈を補い、方向を修正するプロセスを組み込みます。
  4. ステップ4:出力を評価する体制を作る
    エージェントの出力が正しいかどうかを継続的に測ることが、改善の出発点になります。LLMに評価させる「LLM as a Judge」は、その有力な手段です(→ AIがAIを評価するとは?LLM as a Judgeの基礎、AIエージェント開発でのLLM as a Judgeの運用知見)。

1つの定型分析でこの4ステップを回し、正しさを確かめてから、対象とする分析テーマを組織全体に広げていくのが現実的な進め方です。

dotDataの取り組み:データからの知識をエージェントに与える

dotDataは、データの中にあるパターンである「特徴量」を、AIエージェントが使える定量的な根拠として提供することに取り組んでいます。特徴量とは、分析の目的に関係するデータ上のパターンです。たとえば、ローンを利用しそうな顧客に共通する行動パターンなどが、これにあたります。

AIエージェントが自社の分析で正しい答えを出すには、LLMが持つ世界知識や、文書に書かれたドメイン知識に加えて、自社のデータからしか得られない「データからの知識」が必要です。dotDataは、特徴量自動設計の技術によって、目的ごとに数多くのパターンをデータから網羅的に探索し、エージェントが使える形で提供する取り組みを、顧客とともに進めています。この考え方は、AIエージェント時代のデータマートで詳しく解説します。

特徴量と生成AIを活用したビジネスアナリティクスについては、dotData Insightをご覧ください。

まとめ

  • AIエージェントによるデータ分析は、データ基盤、意味の層、エージェント、人の確認と評価の4つがそろって初めて、実務で使える水準になります。現在はAIが人の分析を手伝う段階にあり、今後1〜3年でエージェントが自ら分析する段階へ進んでいくと、dotDataは見ています。
  • 自社データでAIエージェントの精度が出ない主な原因は、モデルではありません。定義のずれ、探索のコスト、評価の欠如など、エージェントに与えるデータとその意味の側にあります。
  • 導入は、定型分析の洗い出し、意味の層の整備、Human-in-the-Loopの設計、評価の体制づくりの4ステップで進めます。

データの「意味」をどう整えるかはAI-Ready Dataとはで、エージェントに定量的な根拠を与える方法はAIエージェント時代のデータマートで解説しています。

AIエージェントとデータ分析に関するよくある質問

分析を主導するのが人か、エージェントか、という点が違います。BIアシスタントは、人の指示に応じて集計や可視化を手伝います。データ分析AIエージェントは、問いを受けて分析の手順を自ら組み立て、データの探索から加工・集計、解釈、レポート化までを進めます。人は、方向付けと承認を担います。Databricks GenieやSnowflake Intelligenceのように、データ基盤上の製品も、対話による補助からエージェントによる分析へと機能を広げつつあると、dotDataは見ています。

分析の種類、データの所在、使う人、求められる正確さ、意味の層の整備状況の5つを基準に選びます。

  • 分析の種類:自由な探索か、手順の決まった分析か
  • データの所在:分析したいデータが、どのデータ基盤やアプリケーションにあるか
  • 使う人:専門の分析チームか、ビジネス部門の担当の方か
  • 求められる正確さ:経営判断に使う指標のように、誤りが許されない分析か
  • 意味の層の整備状況:指標の定義や用語が、エージェントの参照できる形で整っているか

たとえば、リテラシーの高い分析チームが自由に探索するなら汎用エージェント、全社で同じ指標を使ってセルフサービス分析をするならデータ基盤と連携するエージェント、という使い分けが可能です。

エージェントに与える権限を必要な範囲に絞ることが基本です。AIエージェントは自律的にデータへアクセスし、操作を実行するため、従来のセキュリティ教育やアクセス管理だけでは、意図しない操作のリスクを防ぎきれません。権限の最小化に加えて、データやアクセス権の制御によってリスクを防ぐ考え方が必要になります。AIエージェント特有のリスク構造と安全な運用設計の基本は、dotDataのウェビナー「はじめてのAIエージェントセキュリティ〜業務自動化に伴うリスク構造と安全な運用設計〜」で解説しています。

正解が分かっている問いで確かめるのが基本です。指標の定義がはっきりした定型分析について、正しい答えが分かっている問いと答えの組を用意し、エージェントの回答と照合して、正答率や誤りの傾向を確認します。Snowflakeが58問の社内ベンチマークで正答率を比べたように、まずは数十問程度の評価セットから始めると、改善の効果を比べやすくなります。運用に入ってからは、LLM as a Judgeのような自動評価を組み合わせ、正しさを継続的に測ることが可能です。

導入費用は、ツールの利用料よりも、データと意味の層をどこまで整える必要があるかによって大きく変わります。主な要因は次の5つです。

  • 対象データの規模と整備状況:テーブルの数や、名寄せ・クレンジングがどこまで済んでいるか
  • 意味の層の整備工数:指標の計算方法や用語の定義を、どれだけ新たに作る必要があるか
  • 対象とする分析テーマの数:テーマごとに必要な定義やデータが増える
  • 評価と運用の体制:評価セットの作成、正答率の監視、定義の更新を誰が担うか
  • エージェントの利用量:問い合わせの回数や、1回の分析で処理するデータ量

仕事がなくなるのではなく、役割が変わると考えられます。定型的な分析はエージェントに移っていきます。人の役割は、問いを立てること、アドホックで複雑な分析をすること、エージェントの分析を判断すること、エージェントを監督することに移っていきます。特に、エージェントが参照する指標の定義や業務の文脈を整える仕事は、データアナリストの知見が最も生きる領域になると、dotDataは考えています。

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dotData独自の技術である特徴量自動設計は、データサイエンスおよびAI開発工程の最も難しい部分である特徴量設計と事業適用化を自動化します。それにより、企業のAI・機械学習プロジェクトにかかる時間を短縮させ、より高いビジネス価値を生み出します。詳細はdotdata.com、Twitter、LinkedInからご確認いただけます。

dotDataのAIプラットフォーム

dotData Insight 業務部門が自ら洞察を導き出す

dotData Insightは、事業部門が主役のビジネスアナリティクスを実現する革新的なデータ分析プラットフォームです。業務データに隠れたパターン(特徴量)を、BIツールのような直感的で使いやすいインターフェースを通じて提供します。dotData独自のAIが解析するデータの特徴を、生成AIの「世界知識」で補完し、実用的なビジネス仮説を生み出します。この融合により、業務部門は、データの洞察を直感的に理解し、新しいビジネス仮説を立て、戦略立案や施策実行をより効果的に行うことができます。

dotData Feature Factory 特徴量をアセット化し全てのAI/BIを強化

dotData Feature Factoryは、データサイエンティストやIT部門が、企業がキュレーションされたデータ(すなわち特徴量)を開発するために、データ加工に関するノウハウを再利用可能なアセットとして蓄積する仕組みを提供します。データ中心に構築される特徴量空間から、アルゴリズムによってデータに隠れたパターン(特徴量)を発見し、特徴量発見のスピードと効率、再利用性と再現性、専門家間の連携、品質と透明性を向上させます。dotData Feature Factoryは、機械学習モデルによる予測、ビジネスインテリジェンス(BI)によるデータ可視化、或いはマーケティングオートメーションのような、全てのデータアプリケーションを強化します。