顧客訪問と売上げの相関をデータで解明
AIによる営業力強化で新市場を切り拓く
業界:IT業界
ソリューション:データ分析 最適な訪問先を提案するAIモデル開発
コンピュータ周辺機器メーカーとして既に一般消費者の間では広く知られるエレコムは、近年法人向け事業の強化に取り組んでいます。そのための施策の一環として、営業担当者が訪問すべき企業をAIが提案してくれる仕組みを構築しています。現在、大塚商会と共同で「dotData」を使ってAIモデルの開発を進めており、その成果に期待が高まっています。
課題
- 見積もりに至るまでの「訪問と見積もりの相関」については、分析対象 となるデータの種類や量が膨大に上るた め、これまでのように人がBIツールを使っ て分析を行うやり方では多大な労力と時 間が掛かっていた。
- 訪問先となるお客様に関するデータ だけでも何万通りあり、さらにそれに何万もの商品データを掛け合わせて分析するとなると途方もない数の組合せを検討する必要があった。
ソリューション
効果
- dotDataを使って「最適な訪問先を 提案する」AIモデルの構築を進めていて、本稿執筆時点(2023年3月)では、AI モデル開発がスタートし発展途上であるものの、早くも社内からは期待の声が多 く上がっている。
お客様の声
田中 雅之氏
ゆくゆくはAIが訪問先を提案してくれるだけでなく、訪問のアポ取りまで自動的に行ってくれれば、営業担当者はお客様と向き合う時間をより多く取れるようになります。さらに将来的には、ソフトウェアベンダーとハードウェアメーカーのビジネスマッチングをAIが提案してくれるようになれば、弊社のビジネスの幅もより広がるでしょう。
データ活用による営業活動の改善に取り組む
大阪市に本社を置くエレコムは、マウスやキーボードなどさまざまなコンピュータ周辺機器市場において高いシェアを誇る大手メーカーです。同社の「ELECOM」ブランドの製品は今や一般消費者の間で広く知られていますが、近年では法人向けのBtoB事業にも力を入れています。その一環として、2022年からは法人顧客向けの営業施策をより一層強化するため、データ分析やAI技術を営業活動に活用する試みを始めています。この施策を率いるエレコムの田中雅之氏は、その目的や経緯について次のように語ります。
「顧客先への訪問件数や訪問内容、見積もり件数、受注件数などのデータの相関をひも解いて、その結果を基に営業担当者により良い営業活動を提案していきたい。そう考え、約1年前から営業活動のさまざまなアクションのデータ化と分析を進めています」その結果、見積もりに関するデータと受注データとの間の相関については、既にある程度見えてきたと言います。しかし、そもそも見積もりに至るまでの「訪問と見積もりの相関」については、分析対象となるデータの種類や量が膨大に上るため、これまでのように人がBIツールを使って分析を行うやり方では多大な労力と時間が掛かってしまいます。
「訪問先となるお客様に関するデータだけでも何万通りあり、さらにそれに弊社の何万もの商品データを掛け合わせて分析するとなると途方もない数の組合せを検討する必要があります。これを人の頭を使って分析するのは明らかに限界があり、AIを活用できないかと考えていま
した」そんな折、長年の取引先である大塚商会から紹介を受けたのが、AIの開発を大幅に効率化できる「dotData」でした。
dotDataで「顧客訪問」と「見積もり」の相関をひも解く
田中氏は、かねてから大塚商会が日々の営業活動にdotDataを活用して成果を上げていることを耳にしていたといいます。「大塚商会様が以前からAIを使ったデータドリブンな営業活動を展開されていて、AIが提案する訪問先に営業担当者が実際に訪問することで成果を上げられていると聞いていました。こうした仕組みを弊社でも導入できれば、営業ノウハウの属人化を排して営業担当者ごとの成果のばらつきを平準化できるのではないかと考えました」
そこで早速相談を持ち掛けたところ、大塚商会の支援の下でdotDataの実証実験(PoC)を実施することになりました。まずはエレコム側から大塚商会に対して、訪問と見積もりの相関を分析するために必要な基幹システムやSFAシステムから過去3年分を抽出したデータを提供しました。大塚商会側ではこれらのデータの内容を、dotDataを使って「最適な訪問先を提案する」AIモデルの構築を進めています。
本稿執筆時点(2023年3月)では、AIモデル開発がスタートし発展途上であるものの、早くも社内からは期待の声が多く上がっていると言います。「弊社の経営陣からは、『今回の試みが営業活動を変革する良いきっかけになるのではないか』という期待が寄せられています。営業部門の幹部とも『訪問先の最適化』が目下の課題であるという共通認識のもとで、プロジェクトを推進しています」(田中氏)
dotDataによる実証を進めながらも、田中氏は早くもAIを使った未来の営業活動の姿に思いを馳せています。「ゆくゆくはAIが訪問先を提案してくれるだけでなく、訪問のアポ取りまで自動的に行ってくれれば、営業担当者はお客様と向き合う時間をより多く取れるようになります。さらに将来的には、ソフトウェアベンダーとハードウェアメーカーのビジネスマッチングをAIが提案してくれるようになれば、弊社のビジネスの幅もより広がるでしょう。これらが実現するまでにはまだ時間が必要ですが、最終的にはぜひそうしたレベルの活用を実現したいと考えています」
エレコム株式会社
https://www.elecom.co.jp/所在地 | 〒541-8765 大阪市中央区伏見町4-1-1 明治安田生命大阪御堂筋ビル9階 |
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従業員数 | 676名 (契約社員・パート社員211名) ※2022年3月31日現在 |
創業日 | 1986年5月 |
事業内容 | 国内トップクラスのシェアを誇るコンピュータ周辺機器メーカーとして、約2万点もの製品ラインアップで顧客の多様なニーズに応えるとともに、年間3000以上の新製品開発を通じて先進ソリューションを提供し続ける。 |