大阪市に本社を置くエレコムは、マウスやキーボードなどさまざまなコンピュータ周辺機器市場において高いシェアを誇る大手メーカーです。同社の「ELECOM」ブランドの製品は今や一般消費者の間で広く知られていますが、近年では法人向けのBtoB事業にも力を入れています。その一環として、2022年からは法人顧客向けの営業施策をより一層強化するため、データ分析やAI技術を営業活動に活用する試みを始めています。この施策を率いるエレコムの田中雅之氏は、その目的や経緯について次のように語ります。
「顧客先への訪問件数や訪問内容、見積もり件数、受注件数などのデータの相関をひも解いて、その結果を基に営業担当者により良い営業活動を提案していきたい。そう考え、約1年前から営業活動のさまざまなアクションのデータ化と分析を進めています」その結果、見積もりに関するデータと受注データとの間の相関については、既にある程度見えてきたと言います。しかし、そもそも見積もりに至るまでの「訪問と見積もりの相関」については、分析対象となるデータの種類や量が膨大に上るため、これまでのように人がBIツールを使って分析を行うやり方では多大な労力と時間が掛かってしまいます。
「訪問先となるお客様に関するデータだけでも何万通りあり、さらにそれに弊社の何万もの商品データを掛け合わせて分析するとなると途方もない数の組合せを検討する必要があります。これを人の頭を使って分析するのは明らかに限界があり、AIを活用できないかと考えていま
した」そんな折、長年の取引先である大塚商会から紹介を受けたのが、AIの開発を大幅に効率化できる「dotData」でした。