株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ

本部30名のビジネスアナリティクス人材育成から始まった挑戦——その先に見据える「地域未来DX」

業界:金融業界
ソリューション:dotData ビジネスアナリティクス人材育成

後継者不足やDX、脱炭素化など、地域の取引先企業が抱える課題が多様化する中、持株会社体制への移行を経て課題解決型のビジネスを推進するちゅうぎんフィナンシャルグループ。多様な課題に柔軟かつ迅速に応えていくには、データに基づく精度の高い経営判断がこれまで以上に求められています。同社はdotData ビジネスアナリティクス人材育成サービス(以下、BA人材育成)を導入し、本部20部署から30名をスタートとして、全社展開を見据えたデータ人財育成に着手しました。BA人材育成では、受講者自ら企画したテーマで自社のデータを分析し、ビジネスアナリティクスの実践的なプロセスを習得しました。こうした取り組みを経て、現在はクレジットカード契約につながる顧客の行動特性の発見や、法人デリバティブ取引の見込み顧客リスト作成など、データに基づく施策が具体的なビジネス活用につながり始めています。さらに、この取り組みで培った知見を生かし、dotDataとの連携で地域企業のデータドリブン経営を支援する「地域未来DX」にも乗り出しました。

課題

  • 勘や経験に依存した経営判断から、データドリブン経営への移行
  • データ分析スキルが特定部門に偏在し、部署横断的な分析体制が不在
  • データ起点で業務を分析し、分析結果をビジネス施策に結びつけられる人財の不足

ソリューション

dotData ビジネスアナリティクス人材育成サービスによる体系的な育成と、dotDataのAIプラットフォームによるデータ活用の民主化

効果

  • 本部20部署から30名がBA人材育成に参加し、全社横断でのデータ人財育成を段階的に展開
  • クレジットカードや法人デリバティブの顧客分析などの活用が始まる
  • 「分析結果からシナリオを考える」報告プロセスを構築し、データに基づくビジネス提案の定着に向けた取り組みを推進
  • 中国銀行の店舗網・顧客ネットワークとグループのコンサル力を生かし、dotDataとの連携で地域企業向けDX支援への展開を開始

お客様の声

※ 本記事の内容および所属・役職等は、2026年1月8日の取材当時のものです。

白神 賢治氏
株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ イノベーション推進部 部長

白神 賢治氏

データドリブン経営に求められるのは、ツールの導入ではなく企業文化の変革です。BA人材育成を通じて組織の意識が変わり始めた今、我々の経験を新たなサービスとして地域企業の皆様にも提供し、地域全体のデータ活用を後押ししていきたいと考えています。

松永 雅利氏
株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ イノベーション推進部 担当部長

松永 雅利氏

dotDataの説明を伺った際、専門的な知識やスキルがなくとも、高度な分析プロセスそのものを自動化できる点に大きな可能性を感じました。このツールが、銀行のデータ利活用を真に推進する鍵になると実感しています。

井上 昌之氏
株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ イノベーション推進部 スペシャリスト

井上 昌之氏

BA人材育成を通じて講師とともに構築した報告書フォーマットは、データに基づくビジネス提案という新たな文化の醸成に大きな役割を果たしつつあります。

加門 大知氏
株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ イノベーション推進部

加門 大知氏

本部の各部署からメンバーが集うBA人材育成を通じて、データ活用が組織に広がり始めました。現場の課題に即した具体的な分析相談が次々と寄せられるようになり、組織全体でデータを使いこなす土壌が整いつつあります。

豊田 哲巳氏
株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ イノベーション推進部

豊田 哲巳氏

データ分析の専門家の立場からも、dotDataのBA人材育成は単なるスキルの伝授に留まらず、分析の思考プロセスを誰もが再現できる形で見事に体系化しています。特に、分析において最も難しく重要な「特徴量設計」の自動化を実現したことが驚きであり、データから新たな示唆を引き出せる仕組みが実現されていると感じます。

リスクテイクの時代に迫られた、
経営判断のあり方の転換

リスクテイクの時代に迫られた、経営判断のあり方の転換

長く続いたマイナス金利政策と規制緩和の波は、地方銀行の収益構造を根底から揺さぶりました。中国銀行を中核とするちゅうぎんフィナンシャルグループも、金利差に基づく従来の安定収益モデルからリスクテイク型のビジネスモデルへの転換を推進しています。金利のある世界が戻りつつある今も、リスクを伴うビジネスには迅速で精度の高い経営判断が欠かせません。

しかし、イノベーション推進部 部長の白神 賢治氏は、そこに立ちはだかった壁を率直に語ります。

「従来の銀行業では、部署をまたいだデータ分析を通じてリソース最適化を図るという考え方自体が存在しませんでした。データ分析を担える人財もごく一部に限られ、各部署はそれぞれの勘と経験で判断を下している状態でした。地域の取引先企業が抱える多様な課題に迅速かつ柔軟に応えていくためには 、全社に横串を通したデータ分析基盤の構築と、それを使いこなすデジタル人財の全社展開が大前提だったのです」

2024年、この課題に正面から取り組むために新設されたのがイノベーション推進部です。新規ビジネスの開発と業務のトランスフォーメーションという二つのミッションを担う同部は、分析基盤としてdotDataを採用しました。その経緯を、担当部長の松永 雅利氏が紹介します。

「きっかけは、弊社の米国における調査の中でdotDataと出会ったことでした。藤巻遼平CEOを弊社にお招きしてお話を伺う中で、専門的な知識やスキルがなくとも高度な分析プロセスそのものを自動化できるという点に大きな可能性を感じました。特に、データ分析で最も難易度が高く、ビジネスインサイトの発見に重要な特徴量をAIが自動で発見するという発想は、銀行のデータ利活用を真に推進する鍵になると確信し、採用を決定しました」

本部20部署・30名をスタートに、
全社でのデータ人財育成が始動

分析基盤の整備と並行して取り組んだのが、データをビジネスに結びつけられる人財の全社的な育成です。2024年に導入したBA人材育成の運営を担当した加門 大知氏が、その全容を振り返ります。

「デジタル人財の全社展開という方針のもと、本部の各部署に受講を要請しました。事務企画部、システム部、人事部、監査部、デジタル・リテール営業部、コンプライアンス部、リスク統括部 、融資部、総合企画部、国際部、コンサルティング営業部、そしてイノベーション推進部まで、計20の部署から30名が体験・企画コースに参加しています」

BA人材育成は「体験」「企画」「実践」の3段階で構成されています。体験コースではビジネスアナリティクスの基本的な考え方を学び、企画コースではビジネス分析プロセスの理解を深め、受講者自らがテーマを企画します。そして実践コースでは、自社の実データを用いた分析に取り組みます。

このプログラムが組織に与えた影響について、加門氏はこう語ります。

「部署の垣根を越えてメンバーが集まったことで、データ活用に関する共通言語が組織に形成されつつあります。現場の課題感に即した具体的な分析相談が次々と寄せられるようになり、組織全体でデータを使いこなす土壌が急速に整いつつあります」

体験コース参加者の83.3%が「ビジネスアナリティクスは楽しい」、企画コース参加者の89.3%が「業務に生かせる」と回答するなど、受講者の評価も高いものでした。

実データが明かした新たな知見
——実践コースでの分析から

実践コースでは、参加者へのアンケート結果を基に「中堅層離職者の傾向分析」と「クレジットカード申込者の傾向分析」の2テーマを設定し、社内の実データを分析しました。

前職で医療分野のデータサイエンティストとして活躍し、転職後に実践コースから参加した豊田 哲巳氏は、BA人材育成の特徴をこう評価します。

「業務領域を問わず、データ分析に必要なスキルが体系化されている点に感心しました。データ利活用の考え方について、『なるほど、結果をこう説明すればいいんだ』という気づきが多くありました。また、データ分析プロセスで最も難易度が高いのは有意な説明変数を見つけ出す作業ですが、この特徴量をdotDataのAIが自動で発見することには驚きました。専門家でなくとも、データから新たな示唆を引き出せる仕組みが実現されていたのです」

クレジットカード申込者の傾向分析では、時間外ATM利用頻度の高さなど、クレジットカード契約につながりやすい行動特性が浮かび上がりました。従来の勘や経験だけでは気づきにくい、データならではの発見です。

「分析結果からシナリオを考える」——データに基づく
ビジネス提案の文化へ

実践コースの成果について、スペシャリストの井上 昌之氏は二つの重要な意義を指摘します。

「第一に、受講者自身が実データの収集から取り組んだことで、データ形式の不統一やデータ重複、メタデータの不在など、部署横断的なデータ活用に向けた具体的な課題が可視化できました。第二に、そしてこちらがより重要なのですが、分析結果をどのようにビジネスに展開すればよいかという道筋が描けた点です」

井上氏が特に強調するのは、講師の伴走のもとで作成した報告書フォーマットの存在です。

「以前は、あらかじめ想定したシナリオに基づいて分析結果を評価しがちでした。つまり、『こうなるはずだ』という仮説が先にあり、データはその裏付けに使われていたのです。しかし実践コースでは、『分析結果に基づいてシナリオを考える』という逆のアプローチを報告書フォーマットとして定着させました。この転換は、今後のデータ利活用において大きな意味を持つと考えています」

データ起点の施策が
ビジネスの成果に

BA人材育成で培った力は、研修の枠を越え、具体的なビジネスの場面で成果につながり始めています。白神氏がその一例を紹介します。

「国際部からの要望を受け、法人デリバティブ取引の見込み顧客リストをdotDataの特徴量に基づいて作成しました。このリストは、ベテラン行員が勘と経験で選んでいた従来の顧客候補とほぼ重なっていただけでなく、その網から漏れていた複数の見込み顧客を含んでいました。現在、国際部ではこのリストを使った営業活動を進めており、手応えを感じているとのことです」

ベテランの知見をデータで裏づけると同時に、人の目では見落とされていた候補先を発見する。データドリブンな意思決定が従来の経験知を否定するのではなく、それを補完し拡張するものであることを示す事例です。各部門からのデータ利活用に関する相談も確実に増えており、組織全体でデータを起点にビジネスを考える土壌が整いつつあります。

自社の変革を地域へ——dotDataとともに
踏み出す「地域未来DX」

自社の変革を地域へ——dotDataとともに踏み出す「地域未来DX」

ちゅうぎんフィナンシャルグループが見据えるのは、自社のデータドリブン経営のさらに先です。白神氏は展望を語ります。

「地域の中堅・中小企業でも、経営者の世代交代が進む中、データに基づく経営判断へのニーズは日増しに高まっています。しかし多くの企業にとって、データ活用の第一歩を踏み出すハードルは依然として高い。我々がdotDataの導入とBA人材育成を通じて培ってきた知見を、地域企業のDX推進に生かしていきたいと考えています」

この構想は、2025年12月、具体的な一歩を踏み出しました。ちゅうぎんフィナンシャルグループはdotDataとの連携のもと、「地域未来DX」と銘打った地域企業向けのDX支援を開始。中国銀行の店舗網と顧客ネットワークを生かしたニーズ喚起と、グループ会社のCキューブ・コンサルティングによるデータ活用コンサルティングを組み合わせ、dotData Insight Liteを活用した地域企業のデータドリブン経営を支援していきます。

BA人材育成を通じて自らデータドリブン経営への変革に取り組んできた地方銀行が、その経験を生かして地域企業のDX推進にも乗り出す。この新たな挑戦は、dotDataの人材育成サービスが社内の意識改革にとどまらず、地域全体のデータ活用を牽引する起点となりうる可能性を示しています。

株式会社ちゅうぎんフィナンシャルグループ

https://www.chugin-fg.co.jp/
所在地 〒700-8628 岡山県岡山市北区丸の内1-15-20
従業員数 (持株会社)47人 (連結)3,025人 (2026年3月31日時点)
創業日 2022年10月3日
事業内容

前身となる銀行が誕生した1878年以来、岡山県を中心に広島・香川・兵庫各県に支店を展開する「中国銀行」を中核としたグループの持株会社として、2022年に設立された。「業務軸の拡大」「経営資源の適正配分」「グループガバナンスの進化」の3点を狙いとした体制を整備し、「地域・お客さま・従業員と豊かな未来を共創する」ための取り組みを推進している。

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