
セールスフォース活用事例:dotData Insight for Salesforceで実現するデータ・ドリブンな営業DX
- DX
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- 時系列データ
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セールスフォースは、世界No.1のCRMツールとして、現代の営業活動において不可欠な存在となっています。特にSales Cloudは、営業活動の履歴や進捗、顧客情報を一元管理することで、営業担当者が必要な情報に迅速にアクセスし、チーム全体での情報共有も容易になっています。
しかし、セールスフォースを導入しても、そこに日々蓄積されている膨大なデータが必ずしも十分に活用されているわけではありません。営業活動の現場では、依然として「経験と勘」に頼った意思決定がなされる場面が少なくなく、データが持つ潜在能力が引き出し切れていないのが実情です。
本記事では、セールスフォースに蓄積されたデータを最大限に活用し、営業担当者の意思決定を科学的かつ効果的に進化させる具体的なアプローチについて、詳しく解説します。営業改革の成功には何が必要なのか、またそのためのツールや手法についても触れていきます。
セールスフォースのデータは、営業活動の効率化や顧客との関係強化に大きな価値をもたらす可能性を秘めています。しかし、それを効果的に活用するには3つの課題があります。
セールスフォースは多様なオブジェクト(テーブル)で構成されており、それぞれが密接に関連しています。Sales Cloudのデータモデルを確認すると、商談、顧客、活動履歴など多数のオブジェクトが複雑に関係していることが一目で分かります。この複雑さが、必要なカラムがどこに存在するか、オブジェクト間をどうリレーションすれば適切な分析ができるかを把握することを難しくしています。たとえデータサイエンティストであっても、構造を理解し、分析に活用するには相応の労力と時間が必要です。
セールスフォースのデータは入力時の自由度が高いため、データの質にばらつきがあるという課題があります。
セールスフォース(Sales Cloud)のデータは営業活動に特化しているため、マーケティング施策や人事施策、在庫状況など他部門との横断的な分析が必要な場合、セールスフォース単体では限界があります。より深いインサイトを得るためには、外部データとの連携が必須となります。
セールスフォースデータ活用の課題を解決するために、dotDataはAIを活用したデータ分析プラットフォーム「dotData Insight」と、セールスフォース専用ソリューション「dotData Insight for Salesforce」を提供しています。
dotData Insightは、営業活動で蓄積されたデータから、受注や成長に強い関係を持つデータパターン(特徴量)をAIが自動で抽出し、それを営業戦略に落とし込むための意思決定を支援します。
dotData Insight for Salesforceは、セールスフォースの営業データを最大限に活用し、データ・ドリブン営業DXを実現するための主な機能を備えています。
これらの機能を活用することで、セールスフォースに蓄積されたデータを「営業の武器」に変えることが可能になります。
Sales Cloudのデータ分析は多様なユースケースに適用できますが、特に多くの企業で有益な「標準3テーマ」は以下の通りです。
受注商談と失注商談の差異を特徴量として抽出し、質の高い商談の共通要件を明確化します。営業担当者は、初期段階で取るべき具体的な行動が分かるため、受注確度を大幅に高められます。
商談がスムーズに次のステージへ進むために必要な要因を明らかにします。時間軸での詳細な分析により、各ステージでどんな活動をすべきかが明確になり、営業プロセス全体を最適化します。
ハイパフォーマー(上位⚪︎%の営業担当者など)の営業活動をデータで可視化し、そのアプローチを一般化します。これにより、営業チーム全体の底上げや人材育成の効率化を可能にします。
標準テーマだけでなく、セールスフォースデータとdotData Insightを組み合わせることで、今後以下のような追加ユースケースへの展開が期待されています。
dotData Insight for Salesforceの導入は、短期間で効果を実感できるトライアルプロセスからスタートします。Step1〜Step2で約3週間、Step3で約3週間、合計6週間のスケジュールで進行し、営業現場で活用できる具体的な成果を得ることができます。
まずは、セールスフォースから必要なオブジェクトデータを抽出し、アップロードします。
データ定義書を見ながら抽出するほか、データコネクタを利用したテーブル抽出にも対応しています。営業部門が日常的に入力しているデータをそのまま利用するため、複雑な前処理や大規模なデータ整形は不要。最小限の作業で分析の準備が整います。
続いて、商談成約要因分析を簡易的に実行し、現状のデータでどの程度の分析が可能かを確認します。
同時に、入力の不正確さやフェーズ運用の歪み、表記揺れ、データの欠損などを専門家が精査し、データの品質を評価(アセスメント)します。これにより、「現状データで分析を進めて良いのか」「どこを改善すべきか」という方向性が明確になります。データ品質に不安がある企業でも、トライアル段階でGo/No-Goの判断ができるのが特徴です。
本格的な分析フェーズでは、AIが「成約要因」「ステージ遷移」「優秀営業員」という標準3テーマをもとに特徴量を抽出します。
抽出された特徴量は営業部門でも理解しやすい文章と数値で提示され、読み解き会(ワークショップ)を通じて実際の営業施策に落とし込みます。これにより、データ分析に慣れていない現場でも成果をアクションにつなげられる状態になります。分析結果はCSV形式で出力可能なため、既存のダッシュボードやレポートにも容易に統合できます。
トライアル終了後は、標準3テーマだけでなく、顧客ごとの課題に合わせたカスタムテーマ分析に拡張可能です。
さらに、Salesforce外のCRM・ERP・HRデータとの連携や、商談スコアリングの継続運用など、より高度な営業DX施策へと広げていけます。
6週間の導入トライアルを経ることで、営業現場がすぐに実践できる具体的な示唆を獲得し、データ・ドリブンな営業の第一歩を踏み出せます。
「課題1:表記ゆれ」で触れたように、役職・部門・業種などのカテゴリカラムには膨大な表記ゆれが存在します。これを生成AIが自動で検出・統合します。
たとえば、営業担当者が入力した「課長」「マネージャー」「Manager」といった異表記を「中間管理職」という統一カテゴリに自動変換します。これにより、手動で辞書を作成したり複雑な正規表現で対応する必要がなくなり、分析に適したデータが短時間で整備できます。
また、営業メモや日報、議事録といった自由記述のテキスト情報から重要な文脈を抽出し、Yes/Noやカテゴリ値として新たな分析用カラムに変換します。
たとえば、「予算が承認済みか」「部長クラス以上との面談があったか」といった重要情報を自動でラベル化。これにより、従来は扱いづらかったテキスト情報も数値データと同様に分析可能な形で活用できます。
「課題2:商談履歴オブジェクトの加工」で指摘した問題に対応するため、dotDataは縦持ち形式で記録される商談履歴(Opportunity History)を、横持ち形式の「ステージ遷移テーブル」に変換します。実際のデータには、再登録や修正によって時系列に沿っていないケースもありますが、様々な例外処理ルールにより時系列に矛盾のないテーブルを作成します。
これにより、各商談がどのステージにいつ到達したかを1行で俯瞰でき、時系列分析が容易になります。
このステージ遷移テーブルを用いることで、分析の基準時点を柔軟に制御できるようになります。たとえば、「セールスステージ2への遷移日」を基準日とし、そこから一定期間内に受注した商談を対象に、基準日以前の活動データから成功要因を探し出すことが可能です。
こうしたアプローチにより、受注直前の情報ではなく、営業プロセスの早期段階での活動や顧客属性など、真に受注に影響を与えた要因を特定でき、「課題3:情報リーク」も解決します。
データアセスメントは、セールスフォースデータの品質を診断し、特に不正確な入力や運用上の歪みを把握・改善するための取り組みです。商談オブジェクトなどをカラムごとに精査し、クローズ定義や独自拡張による運用の癖を明らかにして、ベストプラクティスとの差異を洗い出します。そのうえで、分析に適したデータ構成や運用ルールへの見直しを提案し、クリーンで分析可能なデータ基盤を整備します。
こうした改善によってデータが整理され、現場での入力精度も向上し、「課題4:不正確な入力」も解消されます。
セールスフォースデータだけでは解決できない課題には、CRM、HR、ERPなど外部データの統合が有効です。
これにより、営業活動の可視化から経営レベルの意思決定支援までを一貫して行えるようになります。
Salesforceを導入するだけでは、営業活動の効率化は限定的です。しかし、dotData Insight for Salesforceを活用すれば、営業データの可視化から高度なデータ分析、実践的なアクションプラン設計までをワンストップで実現できます。データ・ドリブンな営業DXは、単なるIT導入ではなく、営業プロセスそのものの進化です。
今こそ、自社に合った方法でセールスフォースデータを最大限活用し、営業改革の新たなステージへ進むべき時ではないでしょうか。dotDataの専門チームが、御社の課題に合わせた最適な活用プランをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。