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デジタルトランスフォーメーションの成功を妨げる6つの要因

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企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みに多くの資金を投入しています。IT専門調査会社IDCによると、組織や商慣行、製品のデジタルトランスフォーメーション(DX)を可能にするためのテクノロジーやサービスへの投資は、2023年にグローバルで2.3兆ドルに達すると予測されています。さらに、IDCは、DXへの投資額は着実に拡大し、2019年~2023年の5年間の年平均成長率(CAGR)は17.1%に達すると予測しています。

ところが、DXに取り組む企業の70%は目標を達成できていない状況にあります。ウォール・ストリート・ジャーナルが行った2019年の調査によると、ビジネスリーダーや経営幹部の最大の懸念はDXに伴うリスクでした。なぜトランスフォーメーションが不成功に終わる企業が多く、どうすればビジネスリーダーは成功の可能性を高めることができるのでしょうか?

マサチューセッツ工科大学(MIT)の主幹研究員であるジョージ・ウェスターマン氏は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を「テクノロジーを使って組織の生産性を高め、根本的に改善すること」と定義しています。 MITの調査によると、デジタルに精通した企業の収益性は26%向上しています。また、ガートナー社によると、DXの成功には、コーポレートガバナンス、マネジメント、遂行の3つのレベルでの機能が必要ですが、企業はあらゆるレベルでミスを犯すことが多いとされています。

ここでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の成功率を高めるためにビジネスリーダーが避けるべき事柄を6つご紹介します。

1. デジタルに精通したリーダーの欠如:

デジタル分野の経験を持つ適切なリーダーが存在するかどうかで、大きな違いが生まれます。マッキンゼーの調査では、適切なリソースを備えた企業は、デジタルトランスフォーメーションで成功する確率が最大で3倍も高まると報告されています。幹部を含む組織の重要な役割を担う人々が関与することによって、成功の可能性は飛躍的に高まります。NewVantage Partners社の2018年の調査では、金融サービス、保険、製薬・医療などの分野でチーフデータオフィサー(CDO)の需要が高まっており、回答者の62.5%が自分の企業がCDO​を設置していると答え、2012年の12%から大幅に増加しています。CDOはCEO直下に配置されることが多く、データ駆動型企業への変革を担当する責任者となっています。

2. データ成熟度の低さ、戦略とテクノロジーの不一致:

ビジネスの方向性は、法規制、サプライヤー、顧客、競争圧力など、市場の状況によって常に変化します。事業戦略の変更を行うと、それに伴う技術戦略の変更も必要になります。新しい取り組みを実現させるためには、IT予算とプロジェクトを全体的な事業戦略に結び付ける必要があります。例えば、デジタルトランスフォーメーションの一環として、AIを採用する場合、ITは、AIソリューションを実現するために、GPU、ASIC(特定用途向け集積回路)、コアプロセッサなどの異なるデータ処理アーキテクチャの導入をする必要があります。適切なデータインフラを構築しない限り、AIの導入を成功させることはできません。同時に、ITのレガシーインフラをどうするか、また、それを新しいデジタルアーキテクチャにどのように統合するかも重要な課題です。データを収集するだけで、最終的にそれを活用できていない組織や、分析にデータの一部のみしか使用していない組織が非常に多く存在します。アルゴリズムや最先端のAIプラットフォーム以前に問題がある可能性もあり、例えば、エンドツーエンドのデータフローに対応した拡張性のあるデータインフラの欠如、組織のデータの成熟度の低さ、必要なときにデータにアクセスできないことなどが根本的な問題である場合もあります。

3. 不適切なプロジェクトの選択:

デジタルトランスフォーメーションのプロジェクトの選択において、関係者の間で意見が一致せず、結果として、不適切なプロジェクトを選択してしまうことがよくあります。自分の企業がAIや機械学習に初めて携わるとしたら、大胆で野心的なプロジェクトは相応しいとは言えないでしょう。3〜6か月もかけてデータを収集した後で、使用目的に適したデータが存在しないことに気づくといった結果に陥るかもしれません。それよりも、敷居の低い小さなプロジェクトから始め、データに精通したチームを作ってから、AIに取りかかるようにする方がはるかに賢明です。そうすることで、チームに自信がつき、周りの人もついてくるようになります。

4. 技術スタックをすべて社内で構築:

企業独自の様々な要件を満たすためには、社内の業務に精通していない業者に外注するよりも、すべての技術スタックを自社で構築する方が良い、といったアプローチは、それにかかるコストや時間、必要なリソースに対する考慮が欠けています。では、自分の企業に適したAIや機械学習を取り入れるには、どうすればいいのでしょうか。先端を行く中堅・大企業でよく使われる適切なアプローチは、機械学習の自動化(AutoML)ツールを活用することです。AutoMLツールを使用して、手動では複雑なデータサイエンスのプロセスを自動化することで、誰もが容易にAIにアクセスできるようになります。従来のAutoML プラットフォームでは、多少のメリットはあったものの、機械学習の部分のみが自動化されており、データサイエンスのプロセスの中で最も労力を要し、困難な部分であるデータ準備と特徴量設計のプロセスは自動化されていませんでした。次世代プラットフォームであるAutoML 2.0は、より多くの機能を備え、データ準備から特徴量設計、モデル構築、本番環境へのデプロイまで、エンドツーエンドでの自動化を実現します。ごくわずかの例外を除いて、AI自動化プラットフォームは、より高速で効率的に分析を行うことを可能にし、データ分析業務のROI(投資対効果)を向上させます。

5. 根本的な革新ではなく段階的な改善:

本当の意味での「トランスフォーメーション」を理解していない企業が多いようです。例えば、生産性の7%向上は、一見相応に思われるかもしれませんが、ほんのわずかな進歩にすぎません。その程度の向上で満足する企業もあるかもしれませんが、DXでは、50倍の向上および新しい収益源やビジネスモデルの開拓など、根本的な革新が可能になります。そのためには、真のゲームチェンジャーとなるトランスフォーメーションの機会に投資し、真の競争優位性を構築する必要があります。

6. 企業文化の問題の軽視:

トランスフォーメーションの最大の妨げとなるものは、企業文化(またはその欠如)です。DXのリーダーは、自社の企業文化や信念を本質的に理解し、変革を組織の中核的な目的に結びつける手段に長けている必要があります。トランスフォーメーションは企業文化に沿ったものであるようにし、障害や問題に対処することも必要です。現場やさまざまな組織レベルからのサポートと賛同がないと、変革を成功させることはできません。明確な目標設定、デジタルに精通した専門家との頻繁なコミュニケーション、経営陣の協力などが成功を促進します。多くのトランスフォーメーションの専門家が、「DXはテクノロジーよりも、人と企業文化を中心に据えて行うものである」と述べています。

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