米国小売業者、AI予測分析で不正による損失を500万ドル削減
課題
• 複数の州にまたがり200店舗以上を運営し、従業員と店舗の比率が4:1であるため、人に頼る不正監視は困難
• シュリンケージの犯罪分析には膨大な時間がかかるため、店長は本来注力すべき業務に時間を割けない
• 店舗レベルでの実用的な洞察が不足してお
り、200以上の全店舗で大規模に実施することは不可能
ソリューション
• dotData独自の特徴量自動設計技術により、複数のカテゴリーにまたがる数十億のデータポイントを同時に分析
• 特徴量自動設計(AutoFE)と自動機械学習
(AutoML)の技術を組み合わせることで、1
日足らずで不正防止策を更新することが可
能に
結果
• dotDataを活用した不正防止策を導入することで、コスト回収推定額は500万ドル以上に
• 膨大で多種多様なデータをdotDataにより
分析し、データに隠れた反復的な「不正発生リスクやパターン」を発見して、各店舗へ展開
• 変化する不正の傾向に対応し、モデルの陳腐化を防止するために、継続的にAI自動化によって1日足らずで不正防止策のモデルを更新
近年、小売業者は多くの課題を抱えています。パンデミックによる店舗閉鎖や余剰人員の削減、最近多発している集団窃盗やレジ不正の増加。そのような様々な問題に直面しながらも、小売の実店舗ビジネスは、収益と顧客ロイヤルティを守りながら、急増するEコマースと競争しています。顧客が快適に買い物ができる環境を提供しながら、高いセキュリティを維持し盗難を防止することは、容易ではありません。
小売店における不正問題
コンビニエンスストア事業に重大な影響を与える不正行為
小売における犯罪や不正行為は、コンビニエンスストア事業においても例外ではなく、経済的に大きな影響を与え続けています。2019年の全米小売業協会(NRF)の年次小売セキュリティ調査では、犯罪による収益損失だけで617億ドルに及ぶことが確認されました。
コロナによるパンデミックで不正行為が増加
NACSの調査によると、2021年にはカナダと米国で小売業における不正行為の損失額が15%増加したとのことです。コロナによるパンデミックは、小売店での盗難増加に拍車をかけました。
主な不正の種類:
顧客による不正は、特に2つの行為が目立ちます。スイートハートニングと呼ばれる価格の改ざんや割引・クーポンの不正利用と返品詐欺です。
返品詐欺は、消費した商品の一部を返品して返金させるというものです(衣料品小売業は特にこの種の詐欺に合いやすいと言われています)。また、返品詐欺は、消費者がセールで購入した商品を返品し、価格がセール前の水準に上昇した時点で返品することによっても発生します。小売店への返品はパンデミック時に増加し、NRFの推定では返品額100ドルにつき10.30ドルが詐欺による損失とのことです。
従業員による不正には、従業員が商品を盗んだり(シュリンケージとも呼ばれる)、誤った価格をつけることが含まれますが、顧客による不正を支援するケースも少なくありません。例えば、商品を値上げしてその差額を着服したり、商品を友人に安く売ったりすることもあります。従業員による不正は頻繁に発生しており、小売店から年間数十億円を騙し取っています。
CNBCによると、従業員の盗難だけで米国企業は年間500億ドル以上もの損害を被っているそうです。
クライアントが抱えていた課題
なぜ、不正行為を発見するのが難しいのか?
クライアントは、早急に不正行為を特定して防止するために、常に警戒し、顧客や従業員が犯しうる不正行為について最新の情報を得る必要がありました。しかし、店舗あたりの従業員数は4人強のため十分な警戒が難しく、新しいタイプの特殊詐欺や不正行為を常に把握する時間はありませんでした。
そうは言うものの、従業員の不正行為によって多くの収益が失われていたため、管理者は従業員の行動の監視や収益損失の原因を突き止めるための分析に結局多くの時間を使わざるを得えませんでした。さらには、データの中に証拠につながる手がかりを見つけたとしても、分析には膨大な作業が必要でした。何百万ものデータポイント、何十もの変数、そしてノイズの中に明確な判断基準がない中で、統計分析を行うことは不可能に思えました。
各店舗で優先的に対応すべき不正の種類を特定できる明確で実用的な洞察が得られないため、複数の州にまたがる200以上の店舗に不正防止策を導入することは、企業の観点からは非常に困難なことでした。クライアントは、より集中的、効率的、かつ自動化された不正検知・防止対策を必要としていました。
dotData:AIによるソリューション
進化したAIは、不正行為の早期発見と予防に適しています。2019年のForbesの記事によると、不正の専門家の80%が「AIは決済時の不正の削減に役立つ」と考えており、AIを活用する金融機関の63.6%が「AIは不正行為を防止できる有効なツールである」と認めています。AIは小売業では比較的新しいものですが、それでも小売業者の約4分の1がすでにAIを不正検知に活用しています。AIは迅速に大規模な分析ができるという点で、人によるデータ分析より優れています。AIにより、数カ月にわたる取引履歴から在庫データ、店舗の場所、商品カテゴリー、価格情報に至るまで、数十億もの様々なデータを分析することができます。そして、それらの幅広いデータの分析から不正行為の傾向を発見し、それをスコアリングして、不正行為の予測・防止に役立てることができます。
企業におけるメリット:
小売業者は、AIにより店舗・商品ごとに「不正発生のリスクやパターン」を産出し、それを基に不正検知・防止計画を作成して全店舗に展開することができます。分析プロセスの自動化により分析にかかる労力はほとんど必要なくなるため、企業は不正行為の防止対策に集中して取り組むことができ、店舗のオーナーや店長、セキュリティ担当者へのトレーニングにも時間を確保できます。
各店舗におけるメリット:
商品ごとの不正傾向のスコアを各店舗のオーナーに提供することができるので、収益リスクの高い商品を特定して在庫を変更したり、予防措置を講じたりすることができます。予防策としては、商品の配置変更、セキュリティタグの取り付け、防犯カメラ設置、店内の警告表示、訓練を受けたセキュリティ担当者の雇用などが考えられます。
AIソリューションの開発における技術的な課題
不正行為の傾向には、店舗の場所、特定の商品、時間帯など、複数の変数が関与しています。このように多くの変数を分析する必要があるため、不正行為と特定の要因との関連付けが難しくなります。
パンデミック以降、小売関連の犯罪行為が急増し、事態はより複雑になっています。パンデミック以前に見られなかった新しいタイプの不正も数々発生しています。このため、不正行為のパターンを注意深く監視し、誤った推測をしないようにすることが重要です。
このクライアントは、複数のトレンド、一時的なパターン、継続的に起こる問題を特定するために、AIソリューションを必要としていました。要するに、クライアントは木を見て森を見る必要があったのです。パターン認識は、AIが得意とするところです。機械学習(AutoML)と特徴量エンジニアリングによって、適切にターゲットを設定し、モデルをトレーニングすることができます。dotDataは、まさに小売業者が必要とするAIツールを提供できると確信しました。
なぜdotDataなのか?
課題解決のカギとなる特徴パターンの発見や機械学習の自動化
課題1:複数の不正パターン
200以上の店舗、1,000人以上の従業員、店舗ごとに数千の商品を扱うこの小売業者にとって、データを解析することは常に困難なことでした。重要なリスク領域をどこで特定すればよいのかさえもわからない状態でした。
クライアントは、特定の商品で損失が発生しているパターンには気づいていましたが、この異常な特徴の原因が分かりませんでした。人が分析するには要因が多すぎ、手作業で深く分析する時間もありませんでした。
この課題をdotDataはどのように解決したか:
dotDataは、画期的な独自の特徴量自動設計(AutoFE)を使用して、取引データ、在庫、店舗情報、製品およびカテゴリー明細、日付など、幅広い種類の何十億ものデータポイントを分析しました。dotDataのAutoFEは利用可能なデータを分析し、データセットに隠された反復的な不正行為の兆候を表す「特徴パターン」を発見しました。
dotDataのAI自動化ソリューションを活用することで、このクライアントは、複雑でミスを犯しやすい手作業に費やしていた膨大な時間を節約することができました。dotDataのAutoFEシステムが、人間が発見し得ないパターンを抽出することができたことも、非常に重要なポイントでした。
例: ある高額商品の返品が1日に何度もあるケースを特定
この例は、潜在的な不正行為の指標となるものでした。クライアントは、このような高額商品の不正取引の再発防止のために、どのような早期指標に着目すべきかを知りたいと考えていました。dotDataは、関連する変数(時間帯、従業員ID、取引データ)を調査し、必要な相関点を特定し、それを解決しました。
課題2:不正パターンの変化
コロナによるパンデミックが始まって以来、小売業における不正行為が増え、新しい犯罪のパターンが生まれました。例えば、ソーシャルディスタンスの確保のために店員の配置が縮小され、その隙をついて窃盗するケースが多発しました。
また、オンラインで購入し店頭で商品を受け取るケースが増える中、新たなタイプのオンライン詐欺が発生し、在庫損失やレジ不正も増加しました。
このように犯罪のパターンが変化しているため、クライアントは、分析に使うデータソースを迅速に更新し、収益に悪影響が及ぶ前に新たなリスク源を特定する方法を見つけることが不可欠でした。
この課題をdotDataはどのように解決したか:
dotDataは、独自のAutoFEとAutoMLを使用して、クライアントの大量のリアルタイムデータを分析し、不正検知モデルを継続的に更新しています。これらの技術は非常に効率的で、不正検出と防止策の更新には1日もかかりません。
各不正モデルは、新しい情報をリアルタイムに取り入れながら、将来起こり得るリスクに備えて照合されています。また、異なるモデルを様々な商品、取引、店舗に合わせて適用することも可能です。新しい不正パターンは継続的に発見され、ビジネスインテリジェンス(BI)リポジトリに追加されています。これらを繰り返していくことで、クライアントは不正行為の検知・防止に成功しています。
dotDataについて
あらゆる規模の組織にとって、ビジネスのロー・データを価値ある有意義なデータマートに変換し、機械学習(ML)、人工知能(AI)、および従来のデータ分析やアプリケーションに容易に実装できるようにすることは最大の課題ですが、dotDataはそれを解決します。当社は、予測分析を始めたばかりの企業から、より成熟したデータエンジニアリング・プロセスを持つ企業まで、各企業のニーズに応じてカスタマイズされたソリューションを提供しています。dotDataのコアテクノロジーにより、企業はデータウェアハウスやデータレイクから、数百もの列と数百万もの行からなる様々なデータテーブル間の関係を見出し、データをデータマートや特徴量テーブルに自動変換することができます。当社のグローバル顧客は、当社のAI自動化プラットフォームを利用することで、希少で費用のかかる専門家リソースに頼ることなくML、AI、および高度な分析の導入を加速し、迅速なROIを達成しています。
Forresterは、2019年にdotDataをMLとAIのリーダーとして認め、CRNはdotDataを4年連続で注目すべきベンダーリストに選出し、2020年のCB Insights Top 100 AI Startupsに選出されました。AI breakthrough awardでは、dotDataは2019年の「最高の機械学習プラットフォーム」として認められ、世界中のFortune 50のクライアントがdotDataを利用して、ML、AI、高度な分析のプロジェクトを加速しています。詳細については、www.dotdata. comをご覧いただき、TwitterやLinkedInをフォローしてください。
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